どうもこんにちは吉永です。
今回はいつものネタバレとは異なり、『変な家』についての考察記事です。2023年6月1日現在では漫画版は4話後半までしか公開されていませんが、実はその後の話を描いた完全版がノベル版で公開されています。今回はそちらまで読んだ前提で考察をしていこうという内容になっています。ですのでノベル版を読んでいない方はぜひこちらを読んでから本記事をご覧くださることをおすすめします。
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それでは、『変な家』考察を始めていこうと思いますが、かなり考察すべきトピックが多いので何回かに分けて記事を作成していこうと思います。まず今回は物語全体の理解に必要な”左手供養”と”片淵喜江”について考察していこうと思います。
目次
左手供養と片淵家
物語全体を理解する上で重要になる左手供養についてご紹介します。この儀式を理解することで、東京と埼玉の事件において遺体に左手首がなかった理由がわかります。
片淵家の存在
元々は戦前に様々な事業で財を成した片淵家のお話から始めたいと思います。
片淵家の隆盛は片淵嘉永(かえい)の類まれなる商才に始まり、複数の事業を成功へと導いて名門商家へと成長させていました。そしてそんな嘉永には3人の子供がいました。長男の宗一郎と妹の千鶴。そして女中(お手伝いさん)との間に生まれた清吉の3人です。宗一郎は大人しく女性に疎く、一方の清吉は明るく女性経験も豊富で商才もありました。
そして嘉永も歳を重ねた時、跡目を継がせたのは意外にも宗一郎でした。理由は定かではないですが、清吉が女中の子供であり本妻との子ではないからと考えられました。そしてこの判断にブチ切れた清吉は片淵家を離れて自ら事業を起こし、当時の対戦特需により清吉の事業は急成長。こうし片淵嘉永・宗一郎の片淵本家と清吉の興した片淵分家へ分裂してしまいました。
宗一郎の没落と高間潮
宗一郎も父嘉永に学ぶために努力はしたものの、嘉永と清吉を超えるほどの能力はなかったようです。さらに嘉永は宗一郎がいい歳をして女性経験がないことを不穏に思い、幼少期より片淵家で奉公している高間潮という女性と結婚させることにしました。無事に宗一郎は潮と結婚したものの、彼は潮をただの一度も抱くことはなく、夜な夜な彼が向かった場所は妹の千鶴の部屋。そしてやがて千鶴は宗一郎の子供を妊娠することになりました。
この一件が清吉の耳に入り、分家から本家へと出向いて大勢の部下の前で宗一郎を叱責したことを発端として、本家から分家へと人が流れていきました。これにより本家に残されたのは宗一郎とその子供を宿した千鶴、そして本妻の潮、そしてわずかな使用人だけとなりました。妻なのに相手にしてもらえず、夫の子供を身ごもった千鶴と同じ家で過ごすという異常な状況に潮は精神を病み、ある時自らの左手首に包丁を突き刺して切り落とし、その場で絶命してしまいました。
さらに不幸は続き、後に千鶴が出産下のは双子でしたが、なんと下の子には左手首が先天的に欠損していたとのこと。今でこそ近親相姦により遺伝子異常が起こった結果だとわかるのですが、当時の医学知識では解明できず、宗一郎は「潮の呪い」だと考えるようになりました。そしてその双子に仏教的にいい意味を持つ「麻」と「桃」の漢字を入れた麻太と桃太と名付けました。
蘭鏡と名乗る呪術師
不幸続きの片淵本家にやがて蘭鏡と名乗る呪術師が訪れ、これまでに片淵本家に起こった出来事はすべて潮の怨念のせいであると告げ、さらに潮は清吉を恨んでいると信じ込ませた上、この呪いの対処法として説明した儀式こそが「左手供養」なのです。※桃太が左手がない弟です。
- 桃太を太陽の光が届かない部屋に幽閉する
- 屋敷の外に離れ座敷を作り、そこに潮の仏壇を安置する
- 桃太が10歳になったとき、清吉の子供を桃太に殺害させる
- 左手首を切り取り、仏壇に安置する
- 桃太の兄・麻太が『後見人』として、桃太を補佐する
- これを、桃太が13歳になるまで毎年行う
そしてこの儀式は後に左手供養と呼ばれるようになり、現代まで残っているという話なのです。そしてこの左手供養について蘭鏡の言葉をまとめた御誓文を宗一郎が書き留め、自らの子どもたちに教え込んだとのことです。そしてその内容が以下のとおりです。
- 片淵家に左手がない子供が生まれた時は暗室に監禁すること
- その子供が10歳になった時、清吉の血を引く人間を殺させて左手首を切り取ること
- その左手首を潮の仏壇に供えること
- 左手のない子供の兄か姉、いない場合には一番年が近い者に後見人をさせる
- これを子供が13歳になるまで毎年行う
このお触書が現代まで片淵喜江に受け継がれているというお話なのです。そして戦前から平成にまで受け継がれた因縁となっているのです。かなりややこしい話ですよね(笑)難しくて色々と調べたのですが、まだ情報がなかったので私のサイトでまとめてみようと思った次第です。そしてここまでが戦前に分裂した片淵家についてのお話でした。
おそらくはノベル版を読んでいないと全くわけがわからないと思いますので、先に読んでみてください。「小説」というくくりですが、各ページには間取り図や家系図などの挿絵が多く、字も大きいので読みやすくなってます。続きが気になる方はぜひ最安値で読んでみてください。
そしてここからは現代の片淵家、そして左手供養について分かりづらかった部分の考察をまとめていきます。
左手供養に関する考察
清吉の血を引く綾野が後見人となった理由
最初に『変な家』を読んでいて思ったのは、なぜ分家である清吉の血を引く綾野が桃太の後見人となったのかということです。
先程の五箇条を簡単に言うと「本家に左手のない子供が生まれた場合、分家の人間を殺すように」というものです。事実、綾野と柚希の父は、美咲が左手のない桃太を産んだこと、そして喜江が分家の血を引いていることから美咲・洋一たちが綾野・柚希・喜江を殺害する可能性を感じて先に洋一を殺害しています。本来桃太の後見人となるべきは兄である洋一ですが、彼が死亡した場合に綾野か柚希が桃太の後見人になるのはなんだか微妙な気がします。
それに内容からして父が洋一を殺害したことは重治もわかっていたはずですし、その上でその娘の綾野を左手供養に従事させるというのは理解し難いです。
しかし4回くらい読んだタイミングでようやく少しだけ分かりました。「どうしてお姉ちゃんを渡しちゃったの?」という柚希に対して「脅されたからよ」と喜江が答えていました。つまり、重治は左手供養を忠実に実行することを最優先することを決め、そのために五箇条(左手のない子供の兄か姉、いない場合には一番年が近い者に後見人をさせる)に則って柚希、または綾野に後見人をさせることで実行させたんでしょう。
洋一を殺害したことを知っていたとしても、何よりも左手供養の遂行を優先することとしたから、というお話かと思います。
片淵喜江が分家の人間であることを重治は知っていたのか
これはまたわからない部分ですが、おそらく知らないと思われます。
実際に美咲が妊娠した子供に左手がないことを知った父は左手供養が行わせる可能性を考慮して、喜江の旧姓が「片淵」であることを案じていました。仮に分家の人間ということを重治が知っていたとすれば、結婚する時点でなにか言ってるはずですし。それに夫ですら喜江が片淵分家の人間ということを知らなかったわけですから、さすがに重治も知らなかったのかな~と思われます。
ただリアルに考えると割と違和感ありますよね。というのも結婚前には交際期間があり、そのときには片淵喜江と片淵◯◯(父の名前は非公開)というカップルなのです。結婚前から偶然に同姓だったというのはなんとなく違和感ありますしね(笑)まあそこは「偶然」ということで片付けられたのかもしれませんけどね。
片淵喜江の思惑
そして最後になりますが、事の顛末を知った栗原は片淵喜江についても違和感を覚えていました。その違和感とは・・・
- 蘭鏡について調べた”ある方法”とは
- 宗一郎のお触書を持っていた
- 美咲の妊娠を喜江に報告した次の日に美咲は監禁されている
- 宮江恭一の事件は埼玉の新聞にしか載っていない
- 重治が持っていた分家の人間のリスト
これだけのことから、栗原は喜江の正体について違和感を覚えていましたし、雨穴も完全にそれを否定できていませんでした。自分の娘たち以外の片淵家の人間を殺すためにやってきたのでは・・・と考えることもできなくはないですが、それに関してはまだ不明です。私個人の考えとしては、喜江は清吉の血縁者として本家を潰すために、本作で語られていない使命を持っていたのでは?と考えています。
まあ、この辺はまだまだ不明ですけどね(笑)
まとめ
さて、長くなりましたので一旦今回は以上です。現段階では漫画版、そして雨穴さんのYoutube動画を見たけどノベル版は見てない、という方が多いと思います。
なので今回の記事が意味分からなかった!と思う方も非常に多いと思います(笑)最初にも書きましたが、本記事はノベル版を読んだ方向けのネタバレ考察記事なのでお許しください(笑)実際Youtube動画で配信されているのは全4章のうち1章の内容だけです。なのでまだまだ「変な家があるぞ!」という入りの部分だけなんです。ノベル版では以下の内容が明かされています。
- なぜこんな変な家が作られたのか
- 子供部屋に窓がない理由
- 宮江柚希と恭一の関係
- 遺体から左手首だけが切り離されていた理由
このあたりが全て明かされていますので、ぜひノベル版を読んでからまた考察記事シリーズを見てほしいです。そうするとより理解できると思います。現在コミックシーモアで漫画版が一部無料、そしてノベル版も70%OFFで購入できるので期間限定で1400円→420円になってます。安すぎて定価で買ったあの日の自分を殴りたいレベルです(笑)
というわけで『変な家』ネタバレ考察シリーズはまだまだ続きます!次回は主に「仏壇」についてまとめていこうと思いますので、ぜひ御覧ください!